大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(あ)1165 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人福田力之助、同大蔵敏彦、同平林正三の上告趣意第一点について。

しかし、労働組合法一条二項の規定は、同条一項の目的達成のためにした正当な

行為についてのみ、刑法三五条の適用を認めたにすぎず、勤労者の団体交渉におい

ても刑法所定の暴行罪又は脅迫罪に当る行為が行はれた場合にまでその適用がある

ことを認めたものでないこと、また憲法は動労者の団結する権利、団体交渉その他

の団体行動をする権利を保障するが、勤労者の争議権の無制限な行使を許容し、そ

れが国民の平等権、自由権、財産権等の基本的人権に絶対的に優位することを是認

するものではなく、従つて労働者が労働争議において使用者側の自由意思を剥奪し

又は極度に抑圧し或いはその財産に対する支配を阻止し、私有財産制度の基幹を揺

がすような行為をすることの許されないことは、当裁判所の判例とするところであ

り(昭和二二年(れ)三一九号判例集三巻六号七七二頁、昭和二三年(れ)一〇四

九号判例集四巻一一号二二五七頁参照)、本件における被告人等の行為は、第一審

の認定し、原審もこれを肯認したとおり逮捕、監禁、公務執行妨害等の刑法に触れ

る行為をなしたものであり、憲法二八条の保障する権利の範囲を逸脱したものであ

ると認められるのであつて、所論は理由がない。

同第二点および第三点について。

しかし、所論の実質は単なる訴訟法違反、事実誤認、これを前提とする単なる法

令違反の主張を出でないのであつて、いづれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

記録をしらべても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四〇八条により裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

昭和二八年二月一九日

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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